世の中には、「丸呑みフェチ」という、変わったフェチが存在します。生きている人間が、巨大なワニやヘビ、食虫植物、巨人、ドラゴンなどに飲み込まれるシチュエーションを好むフェチです。中でも、捕食者がエサを噛みちぎったり消化したりするシーンのない丸呑みは“SoftVore ”と呼ばれます。アニメやマンガなどでも、巨大生物にゴックンされた主人公たちが腹の中で暴れて脱出するというシーンがしばしば見られますが、SoftVoreはまさにそんな感じです。
以前紹介したCakeInfernoの動画もSoftVoreです。また、私たちが童話として知っている「赤ずきん」でも、オオカミに食べられた赤ずきんとおばあさんは消化されず、漁師によって救出されているのでSoftVoreのジャンルに入ります。子供の頃に「赤ずきん」の話を聞いて、赤ずきんとおばあさんが助かることに違和感を抱きませんでしたが、今になって思えば非現実的なんですよね。本来であれば、食べられれば噛み砕かれますし、丸呑みでも消化はされるはずです。しかし、そこをあえてハッピーエンドに持ってくるあたりは童話ならではでしょう。
赤ずきんに限らず、丸呑みされるシーンというのは非常にショッキングです。私が一番衝撃を受けたのは、冨樫義博『幽遊白書』の仙水編に登場する敵キャラ、巻原定男でした。「美食家(グルメ)」の能力者として登場した巻原は、人間を食べてその能力を自分のものにします。戸愚呂兄を食べるが消化しきれず、逆に戸愚呂兄に心身を乗っ取られるという悲惨なことになりますが……。巻原を初めて見た私は、「気持ち悪い」と思うと同時に、丸呑みすることに対して関心が芽生えました。というのも、私は幼少の頃から、カナヘビなどがバッタを丸呑みするのを見るのが好きだったからです。
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そんな丸呑みをアニメーション化した動画があります。開いたり閉じたりをくり返す大きな口に女性が飲み込まれる瞬間をCGで描いた動画です。細長い舌に絡めとられた女性は、規則正しく歯の生えそろった丸い口の中に……。しかし、この口は女性を噛み砕くわけではなく、丸呑みするみたいです。だったら、なぜ歯が生えているのかと思いますが、そこはフィクションということで(笑)
CGなので、ヌメヌメした赤い口内もリアルに再現されています。現実世界にこんな生物は存在しませんので、フィクションだからこその楽しみがあります。リアルに人間が捕食されているシーンは、それはもう、目を覆いたくなるほど悲惨なものですから。ただ、この動画には、どうも既視感があるんですよね。「どこで見たのかな?」と思っていましたが、水木しげるが描いた「なまず神」と合致するということに最近気づきました。『水木しげるの日本全国神様百怪』の表紙に描かれているのがなまず神です。
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