食物連鎖が成り立つ自然界は、強い生物が弱い生物を捕食する弱肉強食の掟が支配します。もっとも、弱い生物が大人しく食べられるかといえばそうでもありません。捕食者が迫ってきたら逃げますし、たとえ噛みつかれても徹底的に抗戦します。力が強いからといって、常にエサにありつけるわけではないのが、自然界の厳しいところでもあります。
こうした捕食行為を確実に行う手段として、罠を仕掛ける生物が存在します。クモは蜘蛛の巣を張りますし、ウスバカゲロウの幼虫は蟻地獄を作ってアリなどを陥れます。こうした罠を仕掛けることで自然界の頂点に立ったのが人間でしょう。 クモやウスバカゲロウのような下等生物とは違い、人間は高い知能を駆使ししてトラップを開発してきました。だからこそ、単体では非力な人間が猛獣たちを制圧しできたんですね。
人間以外でも、高い知能を有する生物がいれば、罠を仕掛けることはあるでしょう。もしドラゴンがこの世に存在したら、その捕食行為はユニークなものになると考えられます。YouTubeで再現動画を見てみましょう。
ドラゴンが魚の入ったバケツを口にくわえています。その前にはイルカがいますが、魚を追いかけてきて、陸上へと上がってしまったのでしょう。まんまとドラゴンの罠に引っかかってしまいました。さらにドラゴンはイルカの頭をぺろりと舐め、いかにも優しいふりをしてイルカから警戒心を奪います。どこまでも狡猾なドラゴンです。
そして、大きく開かれたドラゴンの口――。憐れなイルカは頭から丸呑みされてしまいました。一気に飲み込まれるのではなく、少しずつ体がドラゴンの口の中に消えていく様子がリアルです。イルカを尻尾までごくりと飲み込んだドラゴンは満足そうな表情を見せます。お腹は膨らんで、未消化のイルカがどうやら動き回っているようです。
しかし、何ということでしょう!ドラゴンはイルカを吐き出してしまったじゃないですか!
ドラゴンの口から頭を出したイルカが台の上にヌルッと滑り落ちます。そして、再びドラゴンと向き合うのでした。
ドラゴンとイルカは「食う-食われる」の関係にあるのではなく、単にじゃれ合っていただけなのかもしれません。ドラゴンの丸呑みシーンを「残酷っ!」と思って見ていた私も、最後の最後で思わず頬が緩んでしまいました。