アンゴラヤギの毛を刈り取って作られた織物を「モヘア」といいます。生糸のような光沢があり、通気性もよく、強度にも優れています。肌触りもよく、毛糸特有のチクチクした感じが無いのも特徴です。一方で、抜けやすく、静電気も発生しやすいという欠点があります。
アンゴラヤギはもともとチベットやヒマラヤの高地に生息していました。しかし、数千年前、遊牧民によってトルコに連れて来られて、そこで飼育や品種改良などが行われてきました。18世紀以降はアフリカ大陸やアメリカ大陸にも輸出されました。
2018年、世界のモヘア素材の半分以上を生産する南アフリカ共和国で、アンゴラヤギを飼育する牧場の様子を映した動画が撮影され、動物愛護団体「PETA」はアンゴラヤギの毛刈りが動物虐待であると批判しました。これを受けて、H&MやZara、Gapなどのファッションブランドがモヘアの使用中止へと方針転換しました。
一方、モヘアはセーターやスーツ、毛布などの身近な衣料品や寝具に使われてきた素材なので、一部の人たちからは強く愛好されています。今回は、そんなモヘアフェチとモヘアのセーターとの出会いを映した動画をYouTubeから紹介します。
撮影者の家に宅配便として届いたのは、モフモフのモヘアで作られた白いセーターです。早速開封した撮影者は、テーブルの上にセーターを広げて、恋人にそうするように 、手で撫で回します。表面のふわふわした毛は、撮影者の肌に優しく絡みつき、愛撫に応えます。撮影者はセーターの気持ちよさにうっとりしているんでしょうね。
撮影者がセーターを触っているだけの短い動画ですが、モヘアが好きな人にはきっと伝わるものがあるはずです。恋愛は必ずしも人間同士の間だけで成立するわけではありません。撮影者とセーターの愛が今後さらに深まることを願いたいと思います。