新型コロナウイルスが2020年2月頃から日本でも感染拡大し、緊急事態宣言が発令されて、外出自粛ムードが加速しました。ゴールデンウィークも自宅に籠らざるを得なくなった人たちは、普段できないこと、具体的には衣類整理に力を入れました。その結果、全国で大量の衣類ごみが出ました。
衣類ゴミは燃えるごみとして焼却処分される以外にも、資源回収や自治会の廃品回収などで回収されてリサイクルされます。しかし、コロナ禍では衣類ごみが多すぎてリサイクルに支障をきたしています。
本来ならば海外に輸出されるはずの古着は、パンデミックの影響で渡航禁止になるなどの影響から輸出されず、業者の倉庫に山積みになっているという報道もありました。業者は「これ以上の古着の受け入れは難しい」と悲鳴を上げ、自治体によっては回収を一時的に停止し、「古着はしばらくの間、各家庭で保管してほしい」と呼びかけました。
環境省によると、2020年のに各家庭から回収された古着の65%、約51万トンがそのまま廃棄されたといいます。リサイクルされたり、再利用されたりした衣服は合わせて3割余りに過ぎなかったそうです。廃棄された衣類は、毎日大型トラック130台分がごみとして捨てられた計算になります。
低価格のファストファッションがスタンダードとなり、流行から外れた衣類が大量廃棄される時代です。それにコロナ禍が追い打ちをかけ、まだ着られるはずの衣類が焼却処分されているのが現状です。焼却場で大量の衣類ごみが引っかかって、焼却に影響を与えたというニュースもあったくらいなので、全国的に衣類ごみの処分は喫緊の課題となっています。
一般に、ぼろくなった衣類や時代遅れの衣類が処分されるイメージですが、衣替えの季節になると、学校制服も処分の対象となります。卒業直後は「思い出の制服」として保管するつもりだった制服も、時間が経つにつれて、タンスやクローゼットを占有するだけの邪魔物となっていきます。ましてや、通っていた学校のこれといった良い思いでもないなら、制服にもそれほど愛着がないので、「もういいや」とごみ袋に突っ込んでしまうこともあるでしょう。
制服をリユースする取り組みも見られるようになってきましたが、それもまだごく一部の地域に限られます。制服は通常の古着と違って資源回収の対象にならない場合もあり、燃えるごみとして捨てられることも少なくありません。何万円もする高価な制服も3年間、もしくは6年間も着用されれば、もはや1円の価値もありません。生ごみなどと一緒に袋詰めされ、そのままゴミ捨て場にポイッです。
そんな制服がパッカー車に巻き込まれる様子を撮影した動画がYouTubeで公開されています。古着回収業者が、リサイクル不可能な制服を処分しているのでしょうか?
女子学生の思い出が詰まったセーラー服も、こうなってしまってはただのゴミです。焼却場に運搬されて、最終的には燃やされて、灰にされてしまうのでしょう。青春が押しつぶされるような、ちょっと心の痛む動画です。