野生のイノシシは非常に危険です。70キロ以上の体重でありながら、時速45キロものスピードで走れるため、突進力が半端ではないからです。また、オスは鋭い牙を持っていて、その牙で突かれたらひとたまりもありません。イノシシの攻撃をまともに食らったら、大人や猟犬でも吹っ飛ばされたり、裂傷を負わされたりして重傷は免れません。
また、2018年の年末から岐阜県の養豚場などで豚コレラが確認されましたが、その感染源は野生のイノシシだったと見られています。草食に近い雑食性の野生イノシシが、海外から日本に入ってきた食品の残骸を食べ、その残骸に付着していたウイルスに感染したということです。豚はイノシシを家畜化した動物なので、イノシシに感染する病気は豚にも感染するんですよ。
そんな危険なイノシシですが、干支の「亥」に割り当てられているため、日本人の多くは親しみを感じています。年賀状に描かれたイノシシのキャラクターを見ると、「イノシシ=カワイイ」とつい思ってしまいます。そして、イノシシの赤ん坊、通称「うり坊」は実際にカワイイんですよね。YouTubeの動画でうり坊の姿を堪能しましょう。
うり坊を至近距離で映した動画をみると、なるほど、うり坊は本当に“瓜(うり)”の模様をしています。瓜といえば、清少納言『枕草子』「うつくしきもの」に「瓜(うり)にかきたるちごの顔」とあります。スイカが瓜の一種ですから、子供の顔を描いたスイカを思い浮かべると……。「うつくし(=カワイイ)」というよりも不気味です(笑)
それはさておき、うり坊の体の模様はスイカの模様に似ています。まるでスイカに手足が付いたみたいな体、そして黒い瞳に大きくて黒い鼻、短い尻尾――。あまりのキュートさに思わずギュッと抱きしめたくなりませんか?
うり坊がカメラのレンズに近づくと、平べったい豚っ鼻がドアップになります。大きな鼻の穴に思わずドキッとします。そして、その鼻を兄弟の体に押し付けてクンクンします。お互いの臭いを嗅ぎ合いながら、押し合いへし合いして、時々パクッ!うり坊たちの遊んでいる様子が兄弟仲の良さを物語っています。
お母さんはベターッと寝そべっていて、その横にうり坊が一匹添い寝しています。獰猛なイノシシも、外敵がいない状況下で自分の子供と過ごしているときは平和なんですね。
日本でもうり坊を飼育しようと思えばできますが、手続きが面倒です。しかも、うり坊がカワイイのはせいぜい1年半くらい。それ以降は、図体が大きくて気性の荒いイノシシに成長してしまいます。そのリスクを考えると、うり坊を飼育するのは現実的ではありません。キュートなうり坊のイメージを損ないたくなければ、今回紹介した動画を見るにとどめるのが賢明でしょう。