ハエトリグサは、北アメリカの温帯に生えている食虫植物です。トゲのある葉っぱで虫をパクっと食べてしまうので有名ですよね。
ハエトリグサは英語で“Venus Flytrap”と呼ばれます。 “Venus”は女神のことですが、これは葉っぱのとげが女神のまつげを連想させることに由来します。罠を張って獲物を待ち構える狡猾で残酷な「女神」といったところでしょうか?
ハエトリグサの捕食の仕組みはとてもユニークです。まず、葉っぱが閉じるのは、虫や小動物が2回(2本以上の)感覚毛に触れる必要があります。1回の刺激だけだと他の葉っぱや雨の雫などが触れた可能性もあるため、無駄なエネルギーを消費しないために閉じません。しかし、「獲物がかかった!」となった後のハエトリグサは凶暴です。なんと0.5秒ほどの早業で葉っぱを閉じ、トゲが内側に曲がって、獲物を閉じ込めてしまうんですよ。その後、獲物を消化液でジワジワ溶かしながら、約10日かけて栄養分を吸収します。
今回紹介するのは、ハエトリグサとハチの攻防を映した動画です。ハエトリグサがどのように葉っぱを閉じるのか、そして、捕らわれたハチはどうなってしまうのかがわかる、ちょっぴり怖い動画です。
動画には、ハエトリグサの葉っぱがたくさん映っています。手前の葉っぱには虫の羽根や足の残骸があって、ゾッとさせられます。そんなワナの上を何匹ものスズメバチたちが飛び交い、中には蜜をすすっていくスズメバチもいます。しかし、その蜜もまた、ススメバチたちを捕えるための「エサ」なんですが……。
虫の残骸がある葉っぱに乗っかったスズメバチがいます。すると、葉っぱが瞬時に閉じて、スズメバチを閉じ込めてしまいました。トゲで封鎖された葉っぱの中で、捕らわれたスズメバチは一生懸命もがいていますが、とても逃げられそうにありません。スズメバチというと毒針を持った強い虫のイメージがあります。しかし、凶暴な「女神」の前では無力のようですね。
2匹のスズメバチが罠にかかるシーンもあります。1匹は頭に食いつかれただけで、そのスズメバチを助けるために仲間がどんどん集まってきます。何とか1匹は逃れましたが、このスズメバチは冷酷で、仲間が葉っぱの奥に捕らわれているのに飛び去ってしまいました。自分は助けてもらっておきながら、仲間を見捨てるとは……(笑)
“女神のまつげ”がスズメバチをパクっと捕える瞬間を見ると、ゾクゾクっとした快感が私の全身を駆け巡ります。スズメバチの行動にもなかなか興味深いものがあって、見ていて飽きないんですよね。食虫植物マニア必見の動画です。