子どもの頃、ブーツを履いたかわいい女子が雪に足跡をつけていく光景を良く眺めていました。特に、校庭のような広い場所が一面雪で覆われていて、まだ誰の足跡もついていないところを、女子がザクザク音を立てながら歩いていく――。そんな光景は最高に美しくて、胸がきゅんとしたのを覚えています。
高校生になって都会の学校へ通学売るようになると、雪の日に道行くOLの足元を見るようになりました。都会のOLはオシャレで、黒い光沢を放つブーツや踵にヒールの付いたブーツもあって、小中学生の女子の足元とは違って、大人の雰囲気を醸し出していました。
雪の積もったある朝、人通りの少ない道を歩いていると、反対側から黒ブーツのOLが黙々と歩いてきました。彼女の靴底は雪を容赦なく踏みしだき、真っ白な絨毯の上に、ぽっかりと黒い穴を開けていきます。点々と続き足跡は一軒の家の前から始まっていて、「今すれ違ったOLはこの家に住んでいるんだな」などと思いながら、遠くに行ってしまったOLの後姿を見送りました。
雪とブーツ、特に白とのコントラストが映える黒ブーツは男のロマンです。そして、そんなロマンを見せてくれる動画を発見しました。
黒いヒールブーツを履いた女性が雪を踏んだり蹴ったりして遊んで(?)います。静かな世界で、靴底で雪が崩れるザクッザクッという音だけが鳴り響きます。黒ブーツの鋭い踵が雪の中に突き刺さり、つま先部分が雪の塊を蹴り上げます。靴底を後ろにズズッと擦ると、黒い後が白い面に長く伸びていきます。大人の女性の雪遊びは、どうしてこうも私の心を鷲掴みにするのでしょうか?
少し残念だったのは、女性が一か所にとどまっていたことですね。雪の中を歩いて、点々と足跡をつけていくシーンも見たかったのですが……。それでも十分に楽しめる動画ではありました。