足で踏みつけることを楽しむ「クラッシュ」のジャンルでは、どのような足(素足か靴を履いているか?靴を履くなら、どんな靴か?)で何を踏むかによって、それぞれの好みが反映されます。今回紹介する動画は、白いドレスシューズを履いた足が黒いレザージャケットを蹂躙するという珍しいシチュエーションです。
床に広げられたレザージャケット――。そこに現れたのは、白いドレスシューズにダメージジーンズというファッションの足です。足は、まるでマットで靴底を拭うかのように、グリグリとジャケットを踏みにじります。足はジャケットに怒りでも抱いているのか、執拗に爪先で蹴り上げ、靴底で床に押し付けるんですよ。
他の動画では、撮影者はジャケットの上に置いたリンゴを踏みつけて砕いています。ジャケットの胸元で粉砕されたリンゴは、果肉と果汁をまき散らして、黒い皮革素材をドロドロに汚してしまいました。クリーニングでもしない限り、このジャケットを着ることはできないでしょう。いや、もしかしたら、クリーニングでも修復できないダメージを負ってしまったかもしれません。
レザージャケットとリンゴというシュールレアリスムの絵画さながらの組み合わせは、リンゴを破壊するドレスシューズの登場で、さらにシュールな光景へと変わりました。リンゴの破片が靴底ですり潰されるたび、黒いレザーが悲鳴を上げているのではないでしょうか?私たちには、その声が聞こえませんが……。
かっこいいレザージャケットを蹂躙し、さらにはリンゴを使って汚す撮影者は、ジャケットに並々ならぬ愛情を抱いているに違いありません。好きな人に対して暴力的になってしまう人がいますが、撮影者はそのような人と同じなのでしょう。
レザー特有の見た目や質感は“男らしさ”の象徴でもあります。それを踏みにじって汚すことは、抽象的な“男性”を支配しようという試みなのかもしれません。