日本三大奇書の一つ『ドグラ・マグラ』の作者、夢野久作が書いた短編童話に「きのこ会議」があります。さまざまなきのこたちが集まって談話をしている中、蠅取り茸、紅茸、草鞋茸などの毒きのこたちは、自分たちが毒を持っていて役に立たないから、人間にとられずに繁盛するんだと主張します。しかし、きのこ狩りに来た家族が毒きのこを発見すると、その子供たちは毒きのこを目の敵にして踏みにじってしまうのでした。自己中心的な生き方は結果として不幸につながるという教訓を含む童話です。
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「きのこ会議」は、童話としてのおもしろさもさることながら、最後の最後に子供は毒きのこを踏みにじるという素晴らしいシーンに感動します。私も子供の頃、気持ち悪い花や虫を踏み潰すことを「正義」だと思っていた時期がありました。実際に害虫や雑草を駆除しているわけですから、褒められることはあっても責められることはないんでしょうが……。ただ、そういう「正義」を振りかざす人間は危険ですし、そのまま大人にならなかったのは幸いだったな、とは思います。
一方で、クラッシュに対する気持ちは今も残っています。自分で何かを踏み潰すことはしませんが(靴が汚れるので)、他人が踏み潰しているのを見るのは好きですね。中でも、「きのこ会議」を彷彿とさせるクラッシュ動画がYouTubeで公開されていて、とても嬉しくなりました。
動画には、地面に生えているきのこが映っています。撮影者は「素晴らしいきのこです!」と絶賛しています。そこに現れたのは、ラバーにマスク、黒ブーツを着用した、いかにも凶悪そうな女性――。彼女は「きのこ!」と言って足元を指さし、その後何をするのかと思えば、なんと、きのこをグシャグシャ踏みつけ始めたじゃないですか!
撮影者は「オーノー!」と叫びながら、「きのこを踏み潰さないで!」と訴えます。しかし、きのこたちは、抵抗できないまま、ブーツの底で圧し潰され、原形をとどめないほどに粉砕されてしまいました。女性はきのこに何か恨みでもあるんでしょうか?それとも、ただ快楽のためだけにむごいことをしたんでしょうか?
撮影者の悲しそうな声が響き渡る中、ケラケラと嘲笑いながら、その場を立ち去っていきました。まるで悪魔のような女性ですね(笑)