フライパンの上で肉を焼くときのジューという音を空腹時に聞きながら、実際に焼かれている肉を見ると、ヨダレがタラリ……。そんな食欲をそそる動画がYouTubeではいくつも公開されています。
今回紹介するのは、45分間ひたすら豚肉を焼く動画です。程よい厚さに切られた豚肉が、油を引いたフライパンの上でジリジリ加熱されます。赤い生肉が徐々に焦げ茶色になっていきます。肉汁を出しながら、ジュワジュワと豚肉の色が変わっていくのを見ていると、お腹がグーッと鳴ってしまいます。
赤身に程よく入り込んだ白い脂身――。しっかり火を通した後、豚肉を口の中に入れると、赤身の歯ごたえと脂身の柔らかさがハーモニーを奏でます。脂身を噛みと肉汁がしみ出して、口の中に豚肉特有の甘みが広がっていくのもたまりません。この美味しさは、程よい厚さの豚肉を上手に焼いたときにだけ味わえるんですよね。
動画は、焼き方がなかなか素晴らしいです。「ちょっと焦げ目が入ったかな」というところでフォークでフライパンから引き揚げ、そこにまた新しい生肉を投下します。途切れることのないジューという音。そして、しみ出し続ける肉汁が、フライパンの上を満たしていきます。
ひたすら豚肉を焼き続ける動画なので、焼けた肉がどうなっているのかがわからないのが残念ではあります。しかし、きっと誰かがどこかでムシャムシャ食べているのでしょう。
肉の種類によっては、ジューという音が小さくなることもあります。逆に、ジュワーッと音が激しくなることもあります。肉の一切れ一切れにドラマがあって、フライパンの上ではそれぞれが自らの役割を演じているんですよ。
しかし、細切れになった豚肉がフライパンの上で焼かれているのを見て「美味しそう」と思うのは、よくよく考えればとても残酷なこと。家畜としてではなく、自然界で生きていたならば、このような姿になることもなかったであろう豚たち――。かつて命が宿っていたその肉がフライパンの上で焼かれているんですから、私たちは豚たちに感謝しなければならないでしょう。
ジューという音を聞きながらいろいろなことを考えると、さまざまな気付きを得られるものです。生命のつながりに畏敬の念を示すことこそ、食物連鎖の頂点に君臨する私たち人間の義務だと思いませんか?
肉を焼く音を45分間聞き続けていると、食欲を通り越したその先に、悟りの境地が見えてくるような気がします。