恵方巻(えほうまき)は、節分の日に恵方(えほう)を向いて無言で食べると縁起が良いとされる巻寿司です。恵方は「吉方」とも呼ばれ、その年の歳徳神 (としとくじん=陰陽道でその年の福徳を司る神をいう)がいる方向です。1989年、コンビニチェーン店、セブンイレブンの広島市中区舟入店が「大阪には節分に太巻き寿司を食べる風習がある」と宣伝し始めたのが恵方巻ブームの始まりとされます。大阪のこのような風習があったのかどうかはいまいちはっきりしません。
恵方巻の大量生産・大量廃棄が毎年繰り返されることに対して、人々の批判が集中しています。特に恵方巻は生ものを使っていて日持ちしないため、節分の日に売れなければ捨てるしかありません。毎年10億円分もの恵方巻が廃棄されているという試算もあります。このことを「もったいない」と憤る消費者がいて、さらには売れ残りの処分費用を負担しなければならないコンビニオーナーからも不満が噴出しています。農林水産省が流通業界に需要に見合った販売を行うように要請するという異例の事態にまで発展しました。
賛否両論ある恵方巻ですが、楽しく、美味しく食べる人がいるのですから、恵方巻自体を否定する必要は無いと思います。そして、今回紹介するASMR動画を見ると、私も恵方巻を食べたくなってきちゃうんですよね(笑)
動画には、大きな恵方巻にかぶりつく女性の口元が映っています。「恵方巻は丸かぶり(丸かじり)すべし」といわれる割には、その食べているシーンはあまり見ることがありません。しかし、この動画では、恵方巻に噛り付いて噛み切り、無言で咀嚼する一部始終をたっぷり鑑賞できます。
透明パックに入った恵方巻は、具材として、カニカマ(?)、卵焼き、レタス、キュウリが入っているようです。これにしょうゆをつけて、女性の口がガブリ!全体の10分の1くらいを噛み切ってモグモグクチャクチャ……。結構な長さのある恵方巻なので、「全部を食べ切れるのかな?」と思ってしまいますが、まずは1本目がどんどん短くなっていきます。なかなか豪快な食べっぷりです。
咀嚼音が元気よく、こんなふうに美味しそうに食べてもらえる恵方巻は本当に幸せでしょう。口の大きさに恵方巻がフィットしているので、恵方巻をかじる瞬間は、目で見て楽しむこともできます。
今回の恵方巻で嬉しいのは、具材にキュウリとレタスが入っているため、咀嚼の際にパリパリシャキシャキという音が聞こえることです。海鮮だけだと、こうした元気な音が聞こえず物足りません。恵方巻は、野菜が素晴らしい役割を果たしていると思います。
後半では、女性の口が2本目にも丸かぶり!1本目を平らげたとは思えない食欲で、恵方巻をどんどん口の中に取り込んで咀嚼していきます。具材に硬いものが入っているようで、バリッという音も耳に心地よいですね。噛み切られた後の恵方巻の断面や、そこにしょうゆがつけられて茶色くなっていくシャリなど、恵方巻の様々な側面にも目を向けてみると楽しみが広がります。
日本人は“伝統”という言葉にとても弱いんですよ。そうした国民の心理を悪用する連中が、「江戸しぐさ」のようなデマで学校教育を染め上げようとします。恵方巻もまた、物が売れなくなった時代に、小売業者が作り上げた“伝統”であるという見解が有力です。ただ、大量廃棄の問題さえクリアできれば、「江戸しぐさ」みたいに害悪をもたらすことはないでしょう。むしろ、今回の動画のような素晴らしいASMRが生まれたわけですから、恵方巻には感謝したいくらいです。恵方巻を食べる動画がもっともっと増えていくことを願います。