フォンダン(フォンザン)は、 砂糖と水を火にかけて煮詰め、冷ました後に撹拌して練ったものです。砂糖を再結晶させたフォンダンは、白くてもっちりしています。日本ではあまりなじみのない素材ですが、和菓子の世界ではフォンダンは「すり蜜」と呼ばれていて、私たちもどこかで口にしていることでしょう。
フォンダンは砂糖の粘土みたいなものですので、着色料を混ぜてくっつけて、食べられる人形を作るのに使えます。また、ケーキやパンの上にかかっている硬めで甘い砂糖の衣(糖衣)がありますが、これもフォンダンから作られるんですね。
YouTubeには、フォンダンを使ったお菓子を映した動画がいくつも公開されています。その美しさは芸術に域に達しているといっても過言ではありません。
今回紹介するのは、「21」の形をしたケーキです。21歳になった女の子の誕生日祝いでしょうか?白いクリームの上に、キラキラ輝く丸い砂糖菓子や花や蝶、靴などをかたどった砂糖菓子が散りばめられています。これらはフォンダンから作られたものなのでしょう。
アップで映された靴やバッグの形をしたお菓子たちが、カメラの角度が変わるごとにきらきら輝きます。まるで真っ白な大地に妖精たちが集い、プレゼント交換をしているかのようです。メルヘンチックな一つの小宇宙があります。足を踏み入れたら、その美しさの虜になってしまいそうです。
食べるのがもったいないですが、食べなければ傷んでしまうだけ……。それならば、一つ一つの砂糖菓子を口に入れて、しっかり味わうのが一番です。砂糖菓子といえ、靴やバッグを食べるのはドキドキします。口の中に入れたら、甘くとろけるんでしょうね。
私は子供の頃、砂糖で作られたサンタクロースやシンデレラなどの人形が大好きでした。キュートな人形を食べるのがかわいそうですが、かわいそうだからこそ、口の中に入れて噛み砕きたいという矛盾した心境――。「21」の形をしたケーキを食べるときも、きっとそんな心境を味わえるんだと思います。画面の向こうに手を伸ばせなくて残念ですが、是非とも食べてみたいケーキです。