女神というと、慈愛に満ちた母性的な神を想像する人も多いでしょう。一方、古今東西の神話に登場する女神の中には、戦争や破壊を司る残虐な神々も少なくありません。
たとえば、ギリシア神話に登場する女神アーテナーは、オリュンポス十二神の一柱にも数えられる神です。知恵や学芸を司る一方で、武装した姿からもわかる通り、戦争の神でもあります。さらに、アーテナーに付き従う女神ニケも「勝利の女神」といわれる戦闘神です。
【赤マント】赤いサテンが翻る!自然の中を歩く魔女が不気味で美しい
大きな赤マントを翻しながら、美しい魔女が自然の中を歩きます。赤いサテン生地の裾が引きずられ、風を受けてふわりと膨らみ、見る者を魅了します。
ヒンドゥー教の女神であるカーリー(ドゥルガーやパールヴァティーと同一視される)は、血を好む戦争の女神として崇拝されています。3つの目、4本の腕、それぞれに握られた武器……。見るからに恐ろしげな姿の女神ですが、このくらいインパクトが強い方が、人々の信仰を集めやすかったんでしょうね。現在でもインド全体で信仰されています。
私は、女神に対してどうしても戦闘神のイメージを抱いてしまいます。だからこそ、今回紹介する動画を見ると、不穏な空気を感じてしまうんですよ。というわけで、YouTube動画をご覧になってください。
ビルの屋上に立つのは、赤い衣装と赤マントをまとった姿の女神――。彼女は風にあおられながらも、屋上の縁の立って、街を見下ろしています。強風が彼女のマントをバタバタとなびかせている光景は美しいと同時に禍々しさを感じさせます。
赤いサテン生地の光沢、風に翻るときの質感、女神の体にまとわりつく様子……。これらがCGでリアルに再現されています。マントの赤はどことなく血の色を思わせる色で、この女神が平和と愛をもたらす存在ではないことを暗示しているんじゃないでしょうか?
女神の赤マントに思わず見入ってしまいます。同時に、これから街に降りかかる災いを妄想してしまいました。