決してメジャーではありませんが、「旗フェチ」というジャンルがあります。国家やチームなどのマークがプリントされた大きな布地は、風に吹かれて翻ります。学生時代は、運動会や式典で国旗掲揚があり、日の丸の旗がポールの天辺に昇って行って、最終的にヒラヒラと風になびきます。
旗フェチの人は、そんな旗の様子を見るとドキドキしてしまうそうです。ましてや、旗が雨に濡れたり泥に汚れたりしたら……。「旗がかわいそう」「旗を助けたい」などの強い衝動にとらわれて、動悸が激しくなるとか。
国旗掲揚というと、一部の教職員が「日の丸は日本の国旗にふさわしくない」と言って、国旗掲揚の際に起立しない問題が話題となりました。もっとも、ニュースで大きく報じられたのは、国旗掲揚反対よりも、国歌斉唱に反対して歌わない・起立しない教職員の問題の方でした。小学校の入学式で「君が代」のピアノ伴奏を拒否した音楽教師が、これを理由とした戒告処分を受けたことを不服として争った裁判は、最高裁判所の平成19年2月27日判決によって、教師側の敗訴が確定しましたね。
いわくつきの「日の丸」ではありますが、教職員の思いとは別に、特殊な“情熱”を燃やしていた生徒もいたってわけですね。もっとも、旗フェチの人たちは、日の丸だけでなく、サッカーの応援で使われるサッカーチームの旗などにも心惹かれるみたいです。人間の嗜好は実にさまざまです。
そんな旗フェチが喜ぶであろう動画がYouTubeで公開されています。「Flags 3D」というサイトの動画のサンプルですが、旗が風になびいている感じが忠実に再現されています。この布地の動きはサテンフェチにも通じるところがあって、旗フェチでなくても見入ってしまうと思います。
日本の旗の動画には、太陽と太陽光を描いた「旭日旗(きょくじつき)」があります。江戸時代から事実上の日本の国旗として使用されてきた旭日旗は、明治以降は軍旗とされました。そのため、現代では、外国、特に韓国からの批判にさらされています。
2018年には、韓国で10月に開催された国際観艦式を巡るトラブルもニュースになりました。国際観艦式に参加する日本に対して、自衛艦旗である旭日旗を艦艇に掲げないよう、韓国が要請。日本がこれを拒否したため、日韓に緊張関係が生じ、ネット上では「嫌韓」ムードが盛り上がりました。
日本の海上自衛隊は、民間船と区別するため、国旗と異なる旭日旗を艦艇に掲げています。旭日旗の掲揚は自衛隊法などの国内法令の義務であると同時に、国連海洋法条約上に定められる「外部標識」に該当するため、これを日の丸国旗に変えることは許されないというのが日本側の主張です。しかし、韓国側は「旭日旗=戦犯旗」という論調で煽ってきたため、両国の対立は深まりました。結局、海上自衛隊が国際観艦式への参加を見送り、和解は実現しませんでした。
こうした政治的な話はさておき、CG動画を通して、旭日旗の美しさを堪能してもらえればと思います。旗には単なるシンボルとして以上に、さまざまな背景や思想が込められています。それを思いながら愛でるのも一興かもしれません。