ドイツ・ニーダーザクセン州南部の都市ヒルデスハイムで毎年8月第二週末、「M’era Luna」が開催されます。M’era Lunaは、メタルやフューチャーポップ、シンセロック、ゴシックロックなど、さまざまな音楽が集うダークミュージックの祭典です。2万~2万5千人の出演者を誇る国内最大のイベントとなっています。
M’era Lunaの会場には、毎年設置される屋外の特設ステージと、かつて航空機の格納庫だった場所を利用したステージの2つのステージがあります。キャンプ施設も用意されています。ファッションショーや屋台なども充実していて、音楽に興味が無い参加者でも十分楽しめそうですね。
会場に集う人々の姿は、YouTubeで公開されている公式動画で見ることができます。
ゴシックやフェティッシュ、スチームパンク、サイバーパンクなど、“異端”とされがちなファッションが集結しているのが特徴です。ピアスやタトゥー、ラバー、レザー、コルセット、ペストマスク…。何でも受け入れる懐の広さを感じさせます。日本のアングライベント「デパートメントH」の規模を拡大したようなイベントです。
動物のようなコスチュームをまとい、木の棒を振りかざして、野性味をアピールする男性がいます。一方で、白い布を翻して、まるで女神のような妖艶さを醸し出している女性もいます。
カップルと思われる参加者のスタイルも多様です。白を基調としたスチームパンクの衣装に身を包んだ年配のカップルもいれば、女性が男性に首輪をつけてリードで引っ張るフェティッシュな魅力あふれるカップルもいます。女性同士でキスを交わしているシーンもあって、LGBTなどの性的マイノリティーにも開かれたイベントであることがうかがえます。
第二次世界大戦時はナチスによる独裁政治が行われ、戦後は東西に分割統治されたという歴史を有するドイツは、過去への反省と多様な価値観の共存とが国家的な方針となっています。それが文化面にも影響を及ぼし、M’era Lunaを大盛況へと導いているのかもしれません。一度は足を運んでみたいイベントです。