東京では、ホームレスが資源回収日の前夜に街中を徘徊して、アルミ缶を集めています。彼らは、潰したアルミ缶を大量に詰め込んだビニールを自転車やリアカーに載せて走り回っています。厳密には条例に触れる行為ですが、パトロール中のお巡りも見て見ぬふりです。彼らがアルミ缶を回収している姿はあまりにも日常的過ぎて、誰も何も言わないし、気にも止めません。
ホームレスが集めるのはアルミ缶に限りません。新聞紙や段ボールを集めている人もいれば、燃えないゴミの日に金属を集めている人もいます。燃えるごみの日に衣類ゴミを漁ったり、食べ残しを拾って食べたりする人もいます。ホームレスではないおばちゃんが、古着屋に売る目的(と思われる)で衣類ゴミを集めていることもあるんですよ。ゴミ漁りの事情は人それぞれです。
海外に目を移すと、日本のホームレス以上に過酷な状況下で生活している人たちが、命をつなぐためにゴミを漁っていることがあります。ゴミ漁りは「ダンプスター・ダイビング(Dumpster diving)」と呼ばれています。ダンプスターは、アメリカなどで見られる大きなゴミコンテナのことです。この中に入って必要なものを漁る行為が、海に潜る「ダイビング」に似ていることから、このような言葉が定着したと考えられます。
もっとも、“Dumpster diving”でYouTubeを検索すると、困窮してゴミを漁っているのではなく、趣味でゴミを漁っている人々の動画がたくさんヒットします。私は「ゴミ漁りはコソコソやれよ」と思いますが、堂々と顔出しして漁ったり、恋人や家族と一緒に漁ったりする強者たちが多くて、日本と外国とのカルチャーギャップを感じます(笑)
今回紹介する動画には、ガールフレンドと一緒にゴミ漁りする男性の姿が映っています。彼らは、人気のある衣料品店から排出された大量の衣類ゴミを救出するのが目的のようです。店舗から出たゴミを持って行っていいんでしょうかね?
それはさておき、男性がゴミコンテナの中に入って、ゴミ袋を破っていきます。中からは衣類や靴などがたくさん出てきて、それらを彼女に渡していきます。めぼしいゴミを車に詰め込んで自宅に持ち帰ります。動画の後半では、「衣類を必要としている人たちがいるのに、こんなに大量に服を捨てておかしい」みたいなことを言いながら、戦利品を披露していきます。
最初の衣類はジャケットです。黒いジャケットは、特に傷んでいるところはなさそうです。2着目は黒いピーコート。こちらも美品ですね。パンツやシャツ、ドレス、キャミソール、セーター、パーカー、スカート、スカーフ、サングラス……。あらゆる衣服がゴミとして捨てられていたようです。確かにもったいない!
ゴミ漁りの是非はともかくとして、ファストファッションの普及によって衣類が大量消費・大量廃棄される問題について考えるきっかけになる動画だと思いました。