田舎出身の管理人は、子供の頃から自然と触れ合うのが好きでした。道端に生えている雑草で気になる草花があると、じっくり観察して、つい触れてしまいます。草の生えた地面に直に座るのも気持ちよかったですね。雑草と土のひんやりした感触が肌から伝わり、ほんのりと青臭さも漂ってきて、自分もまた地球の一部であることを再認識させられます。
地球と生物が相互に関連し合って“巨大な生命体”を構成しているというのが「ガイア理論」です。ガイア理論に則れば、私たち人類と植物や大地とは相互作用を及ぼしているため、「人類が一方的に地球を支配している」と考えるのはナンセンス。そんなガイア理論の正しさを感覚的に理解していたのが、子供時代に私が経験した雑草との触れ合いだと思っています。
一般的には、誰も気に留めない存在で、時として邪魔者扱いされる雑草ですが、私たちが好意を示せば、それに応えてくれるだけのスピリチュアルなものがあるような気がします。とはいえ、好意が過ぎると、「デンドロフィリア」とされます。デンドロフィリアは、樹木を中心とする植物に対する強い愛情です。そんなデンドロフィリアを表現した動画がYouTubeに公開されています。
草の生い茂る広場の片隅に、一人の若い女性が座っています。お尻の下には布を敷いていますが、素足の一部が草や土に触れていますね。彼女は、学校の課題にでも取り組んでいるのでしょうか?ノートが開かれています。
彼女はバッグの中から何かを取り出そうとして探しますが、どうやら使いたいものが見つからなった模様。その後、バッグのあった場所に脚を伸ばしますが、このとき脚の肌に草が触れました。小さくて細長い緑の葉っぱが肌を撫で、柔らかくもくすぐったい感触が脚から伝わってきたのでしょう。彼女はその感触を脚だけでなく、手の平でも確かめます。草を握り、葉先を指先で弄び、指と指の間に花を挟み……。
普段は全く気にも止めなかった雑草の存在を意識し始めたとき、彼女は瞬く間にその虜となってしまいました。足元でじっとしているだけの小さな生命は、自ら人間に語り掛けてくることはありません。しかし、自分に気づいてくれた人間には、柔らかい肌触りや自然の香りで優しく応えてくれるんですよね。そんな草たちの“声”に魅入られてしまった彼女ですが、スマホの着信音によって現実に引き戻されました。
彼女は、一瞬でも草と拘留してしまった自分を恥じるかのように、急いで荷物をまとめてその場を去って行きました。決して他人には話すことができない甘美なひとときは、こうして幕を閉じたのでした。
無音映像でしたが、デンドロフィリアに目覚めた女性の心の変化を上手く表現していると思いました。私は、自分の子供時代と重ね合わせながら、動画を楽しませてもらいました。