「ペスト医者」は、ペスト(黒死病)が蔓延した都市に雇われて、ペスト患者を専門的に治療した医師のことです。占星術師のノストラダムスや錬金術師のパラケルススもペスト医師を務めたとされます。
17~18世紀に活動していたペスト医師たちは、独特な衣装を身に付けていました。肌を露出させないようにガウンをまとい、つば広帽子をかぶり、鳥のくちばしのような形をしたマスクを顔に付けていました。このマスクは「ペストマスク」と呼ばれています。

ペストマスクの独特の形状は、病気を引き起こすと信じられていた「瘴気(しょうき=悪い空気)」を防ぐためのものでした。ペストマスクのくちばし部分にハーブやバラなどを詰めて心地よい香りで空気を浄化すると、瘴気によるペスト感染を防げるとペスト医師たちは考えていました。もちろん、効果があったのかどうかといえば……。
現在では、ペストマスクがコスプレ衣装としてAmazonなどでも一般的に販売されています。ハロウィンや仮装パーティーなどで使われるだけでなく、スチームパンク系のファッションとしても人気があります。デザインフェスタやアーティズムマーケットなどのイベントに行くと、結構な数のペストマスクと出会うはずです。
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YouTubeには、ペスト医師の格好をした人が踊る、ちょっと不気味な動画が公開されています。
不安をかき立てる沈鬱な音楽に合わせて、ペストマスクを着用し、帽子とガウンもまとった人がクネクネと身をよじらせます。ペストマスクは、白い骸骨のような外観を基調として、右目部分に眼鏡が埋め込まれています。死神のような不気味な雰囲気を醸し出しています。こんな人が夜中に近づいてきたら恐怖ですね(笑)
『世にも奇妙な物語』のワンシーンにでもなりそうなダンス映像ですが、怖さがあるものの、つい何度も再生してしまう中毒性があるような気がします。ペストマスクの魅力は、不気味さとかっこよさとが同居しているところにあるんじゃないでしょうか?